スナッフ・ボックスとは、嗅ぎたばこを入れる小さな箱のこと。その歴史は16世紀に遡る。フランス大使ジャン・ニコが、偏頭痛に悩むフランス王妃カトリーヌ・ド・メディチに、ポルトガルで人気のあった嗅ぎたばこを送ったのが始まりである。スナッフを嗅げば偏頭痛が治ると信じられていたのだ。
カトリーヌの息子フランシス2世の時代には、タバコを嗅ぐことが流行となり、ルイ14世の時代には宮廷のエチケットの一部となった。当然のことながら、この流行はロシアを素通りすることはなかった。カトリーヌの宮廷の豪華な貴族たちは互いに嗅ぎタバコを嗜み、嗅ぎタバコの箱は宝飾品の一種となった。
18世紀はタバコ箱の世紀だった。プロイセン王フリードリヒ大王は1740年に600個のタバコ箱を相続し、46年後には約1.5千個のタバコ箱を残した。コンティ公は800個のタバコ箱を持っていた。
服装を変えるたびに、おしゃれな男性はスナッフ・ボックスを変える必要があったのだ。金や宝石、アルミニウム(当時は金よりも価値があった)や鋼鉄、亀の甲羅や鮫の皮、磁器や樺の樹皮など、さまざまな素材が製造に使われた。
ロシアの宮廷では、貴重な材料で作られた嗅ぎたばこ入れを使う習慣があり、磁器の嗅ぎたばこ入れが重要な競争相手となったのはエリザベト・ペトロヴナの治世になってからである。1752年に帝国磁器工場で作られた最初の国産磁器製品が嗅ぎ煙草入れであったことは重要である。
エナメルとダイヤモンドで装飾され、皇帝のモノグラムがあしらわれたタバッカーキは、国家の栄誉の一種でもあった。デルジャヴィンは、「フェリツァ」と「イシュマエルの捕獲について」の詩に対して、高官としてではなく、詩人として2度このような贈り物を受けた。また、エカテリーナがロシア南部を旅行した際、アレクサンドル・スヴォーロフは7000ルーブル相当のチェルボン入り嗅ぎタバコ入れを受け取った。
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